4:緊張型頭痛は肩こり頭痛?

 緊張型頭痛は慢性頭痛の中でももっともポピュラーな頭痛であり、北里大学の統計では15歳以上の日本人の22.4%が緊張型頭痛をもっているとされています。
 つまり2000万人以上の日本人が緊張型頭痛に悩まされているという試算になります。
 これは生活習慣病の代表格である高血圧と同じくらいの人数で、やはりなんとかしなければならない病気の一つです。
 ただ片頭痛とちがい、緊張型頭痛はなかなか捉えどころがなく、医者泣かせであることも事実です。
 
 緊張型頭痛というと肩こりからくる頭痛と思われがちですが、片頭痛にも肩こりは多く見られます。
 また緊張型頭痛の痛みは締め付け感が主体ですが、なんとなく重苦しいという程度から、神経痛のようにズキンと頭に響く場合まで様々です。
 国際頭痛分類では反復性緊張型頭痛と慢性緊張型頭痛に分けられ、一まとめに分類されていますが、病態は全く異なります。
 
 2008年に出されたヨーロッパでの総合的研究では、緊張型頭痛の有病率はアジア・アメリカでは20〜30%ですが、ヨーロッパでは80%と報告されており、頻度や持続時間も考慮が必要なほどばらつきがあるとされています。
 すなわち稀にしか起きず頭痛で悩む期間も短いものから、頻回で長時間持続し、日常生活に慢性的に支障を来すようなものまで、様々な頭痛が緊張型頭痛の範疇に含まれているのです。
 デンマークの緊張型頭痛の生涯有病率は86%とされていますが、そのうち59%の人は月1日以下で特に薬も必要としません。
 一方24〜37%の人は月数回の頭痛があり、10%には毎週頭痛が起き、2〜3%の人は慢性で人生の長きに渡り苦悩するとされています。
 国際頭痛分類基準に準拠した調査であっても、緊張型頭痛の性状や支障度にこの様な大きなばらつきが生じていることを研究者らは問題視しています。
 
 筆者は、緊張型頭痛とされている頭痛の中には2種類の違う原因の頭痛が含まれていると考えています。
 国際頭痛分類では、たまにしか起きず1週間以内には治ってしまう反復性緊張型頭痛とほぼ毎日持続する慢性緊張型頭痛とを、同じ一次性頭痛、つまり原因不明の頭痛として一括りにしていますが、これらは全く違う頭痛である可能性が高いのです。
 どういうことかと言いますと、反復性緊張型頭痛は次項-[5:たまに起こる緊張型頭痛とは]-に示すような原因を持った急性の二次性頭痛である可能性があり、慢性緊張型頭痛は精神的背景があり、辛さ苦しさという感情に近い面をもつ一種の情動、あるいはそれを身体の症状として表現したものである可能性があるのです。
 

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