13:片頭痛の新しい治療薬-CGRP関連抗体薬について

 2021年4月26日に日本初の抗CGRP抗体薬であるガルカネズマブ(商品名「エムガルティ」)が発売され、我が国もやっと新しい片頭痛予防の時代に入りました。
 今後も今年中に他の抗CGRP抗体薬(フレマネズマブ)や受容体抗体薬(エレヌマブ)が出る予定であり、これまでの片頭痛予防薬とは一線を画した治療効果が期待できると思われます。
 
 これまではバルプロ酸(抗てんかん薬として開発)、アミトリプチリン(抗うつ薬として開発)、プロプラノロール(高血圧頻脈治療薬として開発)など、別の疾患に対する治療薬として作られた薬を転用して、片頭痛の予防に使っていましたが、今回のCGRP抗体関連薬と言われる予防薬は片頭痛の脳内メカニズムが解明されてきた上での、片頭痛に特化した予防薬ということが出来ます(これまで片頭痛に特化した予防薬としては塩酸ロメリジンがありましたが、これはカルシウム拮抗薬に分類され、元々は降圧薬として開発されたものでした)。
 
 CGRPとはカルシトニン遺伝子関連ペプチドの略で、カルシトニンという、カルシウムや骨代謝に関与する神経ペプチドと同一の遺伝子から生成されますが、構造がやや異なるため、機能もカルシトニンとは異なります。
 CGRPは主に末梢性感覚神経伝達物質として知られており、片頭痛の痛みのもとになる三叉神経節や三叉神経の分布する硬膜や血管壁に多く存在します。
 またCGRP自体が血管を拡張させるため、セロトニンと並ぶ片頭痛の原因物質として比較的古くから研究されてきました。
(清水利彦:Introduction on CGRP and its role in migraine pathophysiology. 日本頭痛学会誌46:171-172,2019.)

 この予防薬の投与法は皮下注射によるもので、月1回の摂取でかなり安定した予防効果が得られるということです。
 初回のみ2本の皮下注射を受けなければならないことや、薬価が高い(1本の皮下注射が大体45,000円ほどで3割負担でも13,500円ほどになります)ことなどで、やや抵抗はありますが、月1回で済むことや片頭痛の頻度が減って、他の薬を減らせることを考えれば、費用対効果は比較的良いのではないかと思います。
 副作用は注射に伴うもの(注射部位の疼痛や発赤腫脹など)が主で、それ程重篤な副作用は報告されていないようです。
 
 残念ながらどこでも受けられる治療ではなく、脳神経外科、脳神経内科、頭痛専門医などある程度頭痛に特化した施設でのみ受けられる治療になります。
 著者は実際に臨床治験に携わりましたが、その時の感触として比較的良好な予防効果を実感しておりました。
 現在、CGRPそのものの拮抗薬なども研究開発されており、この片頭痛予防の分野はまだまだ新しい薬がでてくる可能性を秘めています。
 
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