12:薬に頼らない慢性頭痛の予防法

 これまで述べてきたように、慢性頭痛の患者さんと睡眠障害とは切っても切れない関係にあります。
 
 まず慢性頭痛を予防するには睡眠を良くすること。
 そのためには日常生活において幾つかのポイントがあり、これを指導することを睡眠衛生指導と言います。(痛みの総合的研究の記事も参考にして下さい。)
 
 まず睡眠時間を規則正しく、できれば7~8時間の睡眠時間を確保し、無理でもなるべく6時間を切らないように努力して下さい。
 これは寝ているうちにセロトニンが作られるためで、睡眠の質が悪いとセロトニンが十分回復しないのです。
 
 寝る前はパソコンやスマホなど目から強い光刺激を入れないこと。
 睡眠覚醒のサイクルを決めているのは体内時計の日内リズムと、睡眠負債の蓄積です。
 体内時計は日光など強い光でリセットされるので、せっかく寝やすくなっている状況でスマホ画面などの強い光を見ると一気に覚醒してしまいます。
 また午後3時以降に昼寝を2時間もしてしまうと睡眠負債が一時的に解消されて、寝付きにくくなります。
 
 寝る直前に満腹にしてしまうと消化運動のため睡眠が浅くなり、寝ているうちに胃腸の消化液による洗い流しが出来ず、消化のリズムも崩れて肥満の原因になります。
 理想的には寝る2〜3時間前に食事を済ませ、静かに本を読んだりリラックスできる音楽を聴いたりするのがよいでしょう。
 腹式呼吸や筋弛緩法を組み合わせて副交感神経を活性化して、寝やすい体制を整えると良いと言われています。
 
 風呂は寝る直前であればぬるめの風呂がお勧めですが、2時間ほど前に入るなら熱い風呂で十分温まり深部体温を上げておくと良いようです。
 体温が下がると眠気がでるので、丁度2時間ほどすると寝やすい状態になります。
 寝る前にハーブ入りの飲み物やアロマ療法も睡眠の改善に役立つ場合があります。
 漢方でも睡眠を取りやすくなるものがあります。
 
 また偏った食生活も片頭痛に悪影響を及ぼします。
 以前から血管拡張を来しやすい物質は片頭痛には要注意とされてきました。
 しかし血管拡張剤などでなければ、食物で片頭痛を必ず誘発するものはない様です。
 
 但しポリフェノールや亜硝酸塩などは摂り過ぎると片頭痛を誘発します。
 また摂ると必ず片頭痛が起きるという食品があれば、もちろん避けるようにした方が良いでしょう。
 グルテン抜きにしたら片頭痛が起きなくなったという方もいます。
 
 また食物繊維の多い食事にして腸内細菌叢を整えることもセロトニンの産生を増やす良い方法です。
 適量の乳酸菌製品(ヨーグルトなど)を毎日摂ることも勧められています。
 
 喫煙やアルコール摂取も悪影響を及ぼします。
 煙草に含まれる一酸化窒素や、アルコール自体あるいは代謝物のアセトアルデヒドが血管を拡張して片頭痛を起こします。
 
 睡眠を悪くするもので最も多いのが精神的ストレスです。
 ストレスにどう対処するかは性格的要素が関係します。
 何でも完璧にしなければ気が済まない人は、どうしても寝る前に翌日のことをいろいろ考えて眠れなくなり、頭痛を起こしてまたストレスが強くなるという悪循環が起きやすいようです。
 片頭痛の慢性化でお話しした薬の過剰摂取も、こういった不安の現れです。
 自分だけでストレスに対応できない場合は、家族、職場の上司、衛生管理者などと相談し、うまくいかない場合は心療内科やメンタルクリニックなどで相談することも必要です。
 
 適度な運動も不眠を改善するのでおすすめです。
 頚背筋筋膜痛、肩こりなどは頸部からの刺激を強め、三叉神経過敏を助長します。
 マッサージやストレッチ体操で常にほぐして置くことが大事です。
 片頭痛が起きていないときは脊中、特に後頚部や肩甲骨の間を温めてそこの部分を重点的にストレッチするようにするとよいでしょう。
 
 週2回は1時間ほどのまとまった運動をすることが勧められていますが、なかなかフィットネスクラブなどに行く時間が取れないという方が多いので、通勤の時間帯に往復合計30〜40分歩くことが手軽で良い運動習慣になります。
 1日9000歩程度を目安に歩く様にすると、ある程度運動不足が解消され、睡眠の質も改善されると言われています。
 
 いずれにしても自分に合った不眠の対処法を見つけておくと不安感もとれ、セロトニンの回復が早まるので片頭痛の慢性化を防ぐことができます。
 

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