8:頭に雷が落ちた!雷鳴頭痛はすぐ脳外科へ

 頭痛のうちでも、急に頭がガーンと殴られたような起こり方の急性頭痛があります。
 このような、何日の何時何分ころ起こったというような超急性発症の頭痛のことを雷鳴頭痛(thunderclap headache)といいます。
 多くの方は、すぐ脳外科へ行かれると思いますが、それは正解です。
 雷鳴頭痛には、命を脅かすような二次性頭痛(原因が検査でわかる頭痛)が多いのです。
 
 例えば、代表的なのがクモ膜下出血で、雷鳴頭痛の11〜25%を占めると言われています。
 その他に、3層構造をしている頚部の動脈壁に亀裂が生じ、血管壁内に血がたまる動脈解離(解離性動脈瘤)が20%、脳出血(脳内出血)が2〜6%含まれることが報告されています。
 その他に頻度としては稀ですが、脳深部の太い動脈の閉塞や、脳の太い静脈の閉塞(静脈洞血栓症)、脳の動脈の一時的な血管収縮(可逆性脳血管攣縮症候群-RCVS、次項)、脳下垂体腫瘍の中に出血を起こす下垂体卒中、急性高血圧発作による頭痛などが知られています。
 
 二次性頭痛でもっとも頼りになるのが脳外科医です。
 雷鳴頭痛の場合は躊躇せず、一刻も早く脳神経外科の病院へ行くことをお勧めいたします。
 ただし、雷鳴頭痛であっても片頭痛、労作性頭痛などの一次性頭痛も多く含まれるため、脳外科へ行っても異常なしとされることもあります。
 それでもまずは脳外科へかかるべきでしょう。
 
 ちなみに労作性頭痛とはスポーツや性行為などのあとに、急に強い拍動性頭痛を感じるもので、頚筋炎などで後頭神経が過敏になっているところへ、交感神経緊張による血圧上昇で一時的な血管拡張が起き拍動性頭痛が起きるものです。
 頻度としても比較的多くみられます。
 この場合は消炎鎮痛剤の内服と冷湿布や頚部を冷やし、運動やマッサージを避けて安静にしていると1週間以内には起きなくなります。
 
 ここでひとつ注意すべき点があります。
 片頭痛の人は雷鳴頭痛を起こし、脳外科へ行っても次項のRCVSなどの特殊な場合を除き、脳には特に異常なしとされることが多いものです。
 問題は異常がないと分かった後の対応のされ方次第で、片頭痛が慢性化することがあるということです。
 
 片頭痛が慢性化する場合、以前お話ししたように不安と睡眠障害が原因となることが大半です。
 片頭痛自体の痛みの強さはかなり強くなることもあり、同時に命にかかわる恐怖を抱く方が少なくありません。
 ですから、初診の脳外科医に冷たく対応されると、患者さんの性格によっては、もう病院へ行けないので今度また頭痛が起こったらどうしようという強い恐怖心を持ち、それが悪夢となって睡眠障害を起こし、薬物乱用に走ったり、うつ状態に陥ったりして片頭痛が慢性化する人がいます。
 
 幸い最近では、初診の脳外科医から、脳には異常がないので頭痛専門外来を受診しなさいと言われ、受診される患者さんも多くなっています。
 この面では片頭痛の慢性化は以前よりは防ぎやすくなってきていると思います。
 

 

 
 
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