Lesson2 頭痛治療と自分でできる対処法頭が痛い、とりあえず病院へ・・・という前に、ここであなた自身の頭痛を自分で診断してみましょう。
いかがでしたか? ご自分の頭痛がどの種類なのか予測がつきましたか? お断りしておきますが,この自己診断はあくまで慢性頭痛に限ってのものです。
ずっと頭が痛いけど慢性なのでしょうがないと放置していたり,病院へ行くのは厄介だし,どこへ行けばよいか分からないと悩んでいて,もし一度も頭の検査を受けたことがないのなら,ぜひ最寄の脳神経外科,神経内科病院などでMRI検査を受けて下さい。その上で異常がなければ安心して頭痛をうまく治す工夫をしましょう。
もし病院へかかられるのでしたら,現在では日本頭痛学会が認定した頭痛専門医が全国にいますので,WEBでお近くの専門医のいる病院を探してみて下さい。近くに専門医がいない場合には,最近では慢性頭痛のオンライン診療を行なっている施設もありますので調べてみて下さい。(Lesson3 頭痛の最新医療情報へ)
病院にかかるときに自分の症状をまとめていくことは,診察時間の短縮にもなり,頭痛の専門家には喜ばれます。
自分でできる対処法頭痛一般について これはあくまでも基本的な考え方です。忙しい日常生活ではなかなか難しいかも知れませんが,できる範囲でやってみて下さい。
まず慢性の頭痛やめまいは自律神経の調節がうまくいっていない時に起きます。自律神経機能を整えるために,できるだけ日常生活リズムを規則正しくすることが大事です。
特に睡眠時間は大切で,人によって最適な時間は違いますが,7時間前後の睡眠を規則正しくとる様にしましょう。
栄養摂取も自律神経機能を保つためには大切ですので,食事の時間もできるだけ規則正しくするのがよいでしょう。
自律神経調節は体内時計の働きと密接に関係しますので,特に朝食を摂ることは,朝,陽の光を浴びることとともに,体内時計のリセットには大切な要素です。
腸の働きを整えるため,便秘にならないように緑黄色野菜や食物繊維の多い食物をヨーグルトなどと共に適量とることも大切です。夕食は多くなり過ぎないように,就寝前2時間前位には食事を終わらせておくのが,良い睡眠をとるためには大切です。
昼寝は長過ぎなければ,却ってそれまでの疲労感をリセットできますので,30分位の短時間の昼寝は良いと思います。ただし,毎日2〜3時間昼寝をしないともたない場合は,夜間の睡眠が浅いことの現れですのでリセットすることも必要です。
詳しくは「痛みの総合的研究」の「睡眠障害と片頭痛の関係」をご覧下さい。
適度な運動も勧められますが,忙しい日常で運動だけに時間を割くことはできないという方が多いので,なるべく1日30〜40分程度歩く様にしましょう。スポーツジムに通う時間のある方は週2回程度,1時間以内のトレーニングをすることをお勧めします。
毎日強い運動をすると筋疲労が回復せず,筋肉痛や関節痛が慢性化することもあり,特に中高年の方にはお勧めできません。手軽にできる首,肩のストレッチを習慣にするとよいでしょう。(→首・肩のストレッチ体操)
精神的ストレスは全ての頭痛に悪影響を及ぼします。特に緊張型頭痛や片頭痛の方はストレスが原因で慢性化することが多い様です。
ストレスは睡眠の悪化につながりますので,職場や家族・友人に相談したり,自分なりの気分転換などでも上手く行かなくなった場合は,早めに心療内科などを受診することをお勧めいたします。
片頭痛の場合 基本的には片頭痛発作を誘発する要因を避けることですが,ホルモンバランスの影響や気温・気圧の変化はどうしようもありません。
唯一,自分で調節できるのは睡眠時間をできるだけ規則正しくすることです。シフト勤務の方でもできる範囲で時間を決めるとよいと思います。
発作が起きたら,光や音の刺激を避け,額を冷やして暗い静かなところで休むのが一番よい治療になります。
軽い内なら額・こめかみを冷やしたり,血管収縮作用のあるカフェイン入りの飲み物を飲むと落ち着くこともある様です。また特定の食べ物や化学物質,特にグルテンやポリフェノールなどが誘因になる場合もあるようです。
アルコールやタバコは血管を拡張させますので片頭痛を誘発します。逆にカルシウムやマグネシウムはある程度予防効果があるとされています。
群発頭痛の場合 発作期にはアルコールは必ずと言っていいほど群発発作を誘発します。強い運動や温め過ぎも良くありません。
群発も血管拡張による頭痛ですので冷やすのが良いのですが,片頭痛と違って首の深いところにある頸動脈の拡張によるものなので,片頭痛ほど効果はありません。
1〜2年に1〜2回,季節の変わり目に起きる方が多く,あらかじめ専門医にかかって対処法(内服,点鼻薬,自己注射,純酸素吸入など)を用意しておくのが良い対処法です。
アレルギー性鼻炎や花粉症が原因で群発発作を誘発される方もいる様ですので,マスクや鼻うがいなどで予防することも必要かも知れません。
なるべく睡眠時間を規則正しくして,季節の変化に身体を馴染ませるようにすると早く治まるようです。
緊張型頭痛の場合 緊張型頭痛は何となく始まってくることが多いとされていましたが,発症は比較的急性で首の痛みから始まることが多い様です。
直後は軽い炎症ですのでマッサージや運動などはせずに冷シップを貼って冷やして安静にしておくと1週間以内には治ります。
この時期は炎症を抑える鎮痛剤が効きます。アセトアミノフェンは炎症を抑えませんので効果はありません。
この時期に無理したり,マッサージを受けたりすると炎症が悪化し長引きます。炎症の強い時は夜間痛も起きますので,睡眠が障害されてきます。
慢性化した場合,精神的ストレスや慢性的な頸部筋緊張が原因で頭痛が起きるとされていましたが,おそらくこれは病気の一面を捉えていただけのようです。
確かに慢性緊張型頭痛にはストレスや肩こりが多く合併しますが,これは神経の刺激と同時に起きている随伴要素の可能性があり,ストレスをとったり肩こりをほぐしたりすると頭痛が治まるというわけではないようです。
つまり心因性と思われていた慢性頭痛には身体的原因が関係している可能性があり,それが頸部での慢性炎症による刺激であると考えられます。
朝起きて毎日,首や目の奥に痛みが続くという状態になった場合は,早めに頭痛外来にかかられることをお勧めいたします。
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