学会イベント 第5回北海道頭痛勉強会後記 更新 : 2003年11月5日
 去る10月3日金曜日の午後6:00から,札幌グランドホテルにおいて第5回北海道頭痛勉強会が開催されました。今回の共催メーカーはアストラゼネカ株式会社であり,会に先立って20分ほどゾーミッグ口腔内即溶錠(RM)の製品説明がありました。RM錠は水なしで飲める利点があり,片頭痛治療効果も優れているという説明でした。その後,頭痛勉強会の顧問をしていただいている北大名誉教授の田代邦雄先生より開会の辞があり,会が始まりました。
一般演題は頭痛勉強会の幹事である藤木直人先生の座長により,2題発表されました。一題目は中村記念病院の松下隆司先生の発表で「フェニルプロパノールアミン服用後に頭痛で発症した脳出血」という珍しい症例を2例発表になりました。これは一般的に使用されているカゼ薬であり,今後の注意が喚起される報告でした。二題目は江別市立病院神経内科の柳原哲郎先生が「頭痛日記にて経過を見た片頭痛」の演題を発表されました。会の幹事でもある柳原先生は,会の趣旨にそって非常に長期間苦労された症例を発表されました。長期間,頭痛日記により頭痛の経過をきちんと追い,それぞれの時期で患者の抱えた問題点を浮き彫りにする発表となっていました。質問は座長とフロアからそれぞれ,この症例の頭痛の分類や発現機序をどう考えるかという質問が出ていました。
その後,札幌医大神経内科教授で本会の顧問をされている松本博之先生の座長で,今回の特別講演が始まりました。豊中市民病院神経内科の高瀬靖先生に「薬剤誘発性頭痛の診断と治療」という題で,最近のトピックスである薬剤誘発性頭痛の発表をいただきました。昨日は当直でお疲れの中札幌にいらしていただき,早速の講演にもかかわらず,持ち前の大きな声と軽妙な語り口で,最後まで熱弁を振るわれました。この中で新しい国際頭痛学会の頭痛分類の中から最新の知識も織り込み,慢性連日性頭痛と薬剤誘発性頭痛とに関して,豊富な症例数(300件以上)の患者の経験を通して話されました。驚いたことに,高瀬先生は,今回の改定が発表になる前から慢性片頭痛や薬剤誘発性頭痛に関して,今回IHS分類に取り込まれた幾つかの診断名を提案していたということでした。先見の明がありますね。またトリプタンによる薬剤誘発性頭痛にも注意を喚起されており,今後の私たち頭痛治療に携わる医師には注意しなければならない事を,懇切丁寧に教えてくれました。その後の質疑応答でも,誠実な人柄をしのばせる飾り気のないやりとりが好印象を与えました。最後に共催メーカーのアストラゼネカ増倉支店長より出席された方々にお礼の言葉があり,会を終了いたしました。次回は来年春にファイザーの共催で,第6回頭痛勉強会を開催する予定です。嗜好を凝らした内容にしたいと思っていますので,どうぞお楽しみに。
 
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