学会イベント 第2回北海道頭痛勉強会後記 更新 : 2002年3月28日
第2回北海道頭痛勉強会後記

去る平成14年3月15日に、アストラゼネカ株式会社の共催のもと、第2回北海道頭痛勉強会が札幌グランドホテルで開かれました。あいにく4~5件の他の研究会とぶつかってしまい、初めはやや寂しい入りでしたが、次第に参加人数も増え、100人予定の会場に入りきらないくらいの盛会となりました。
予定より10分遅れて開始となり、まずアストラゼネカ学術担当の男性より片頭痛治療薬ゾーミッグ(ゾルミトリプタン)の説明がありました。ちょうどその日、タイミングを合わせたかのように、いままでよりも飲みやすいゾーミッグの口腔内速溶錠(Zomig RM)が認可になったという報告もなされました。これでまた片頭痛治療における強力な武器が手に入る訳です。今後も多くのトリプタン系の薬剤がいろいろな形状で使えるようになるということで期待が持てます。

次に北海道頭痛勉強会の顧問をお願いしている札幌医科大学神経内科教授の松本博之先生から開会のご挨拶をいただき、会が始まりました。
勉強会のプログラムの一番目として、今回から質問コーナーというものを設けました。北見と藤木先生とで司会進行、応答係を務め、今回は初回ということで質問者を募ったところ、麻生クリニックの谷岡先生と宮の沢総合クリニックの三浦先生のお二方にご質問をいただけることになりました。
質問1.谷岡先生より「混合型頭痛の診断と治療について」
回答(藤木先生):混合型頭痛は以前は分類にあったが現在の国際頭痛学会の分類にはない。片頭痛と緊張型頭痛の何れの要素もあるもので、確かに臨床では多く見られるが診断は難しい。緊張型頭痛に片頭痛の要素が加わったものもあるが、その逆もある。従って治療も教科書的にはまず緊張型の治療をおこなってだめなら片頭痛、という流れになっているが、自分(藤木)としては片頭痛の治療を先にしてもかまわないと思う。しかし片頭痛と緊張型頭痛の区別が難しいケースが多く、紛らわしい頭痛に対して片頭痛治療薬を使ってしまうと結果として過剰投薬になる場合が多いことに注意が必要と思う。
質問2.三浦先生より「片頭痛の診断と治療について」
回答(北見):トリプタン系薬剤の使用法について。内服するタイミングにより効果に差があるか(一応早いほうが良いが、予防的には効果はない。前兆期に内服するとひどい頭痛が抑えられるという報告もある。)小児のトリプタン投与はどうか(しないほうがよい。バルプロ酸が有効であることが多い。)トリプタンが効かない場合どうするか(片頭痛ではない可能性が高い。他の慢性痛の治療に切り替える。)トリプタンが効きにくい人は(使ってみないとわからないが、片頭痛類似の頭痛発作を有する疾患も他にあるので、鑑別が大事。)など。
質問コーナーの最後に質疑応答があり、北大神経内科の深浦先生から、トリプタン製剤の量と血中濃度の質問があり、アストラゼネカの学術の方が答えられていました。

プログラムの2番目として、興味ある症例の発表が行われました。
札幌医科大学医学部 神経内科 
保月隆良先生 山内里香先生 野中道夫先生 千葉進先生  松本博之先生
「反復する左側頭部・眼窩部痛に著明な眼球突出を伴った1例」
28才女性、左眼部痛、眼球突出を主訴とし、プレドニンが著効、ゾーミッグも有効、塩酸ロメリジンはやや有効であった。三叉自律神経頭痛の範疇に入る病態として、経過観察中である。
その後質疑応答があり、座長の田中千春先生より非常に珍しい症例とのコメントがありました。

次にこの会の特別講演として、日本の片頭痛研究の若手ナンバーワンである、鳥取大学脳神経内科講師の竹島多賀夫先生より「片頭痛の診断と治療の現状」と題する特別講演がありました。座長は本会の顧問をお願いしている、北海道大学神経内科教授の田代邦雄先生にお願いしました。
竹島先生の講演は、かいつまんで言えば、片頭痛治療の現状と問題点、頭痛の疫学、頭痛の診断、そして新しい分野で片頭痛関連遺伝子の話、最後に治療のターゲットとEBMに基づいた片頭痛の治療法の話と、本当に慢性頭痛全体の診断治療のエッセンスを60分に凝集した高度でかつ分かりやすい内容のものでした。個人的には竹島先生が独自に考案されたという、片頭痛の強さと時間経過をグラフにした、VAS(ビジュアルアナログスケール)のグラフがとても分かりやすかったのと、慢性頭痛は本来、緊張型と血管性のどちらの要素も併せ持っており、どちらかの要素が強くでている場合に診断基準に合うのであって、診断基準に合わない人が多くいてもかまわない、という話を非常に興味深く聞かせてもらいました。
講演終了後会場の札幌医大総合診療科 木村先生からご質問があり、竹島先生が丁寧に答えられていました。今回は出席の皆さんの反応もよく、片頭痛の診断治療に関する知識と興味が広く普及しつつあるという印象を受ける内容でした。

最後に本会の顧問をお願いしています、札幌医科大学麻酔科教授の並木昭義先生から閉会の言葉をいただき、会を終了いたしました。今回の参加者にはアンケートをお配りしてあり、回収できたアンケートの集計結果を下段にご報告いたしました。次回は本年9月の開催予定です。                     文責 北見公一


プログラム
18:00~  【製品紹介】 片頭痛治療薬「ゾーミッグ錠2.5mg」
アストラゼネカ(株)札幌支店学術部

18:20~  【開会挨拶】 
札幌医科大学医学部 神経内科学講座 
教授 松本博之 先生

18:25~  【頭痛質問コーナー】
司会 北海道脳神経外科記念病院 副院長 北見公一先生
国立療養所南札幌病院 第二神経内科 医長 藤木直人先生
①札幌麻生クリニック 院長 谷岡富美男先生
「混合型頭痛の診断と治療について」
②宮の沢総合クリニック 院長 三浦哲哉先生
「頭痛の薬物治療と効果について」

18:45~  【症例】
座長 中村記念病院 神経内科 主任医長 田中千春先生
札幌医科大学医学部 神経内科 
保月隆良先生 山内里香先生 野中道夫先生 
千葉進先生  松本博之先生
「反復する左側頭部・眼窩部痛に著明な眼球突出を伴った1例」

19:00~【特別講演】
座長 北海道大学大学院医学研究科神経内科学
教授 田代邦雄 先生
『片頭痛の診断と治療』
鳥取大学医学部 脳神経内科 講師 竹島多賀夫 先生

19:55~  【閉会挨拶】 札幌医科大学医学部 麻酔学講座 教授 並木昭義 先生

共催 北海道頭痛勉強会 アストラゼネカ(株)
後援 北海道医師会 札幌市医師会
この講演会は北海道医師会の承認を得て、「北海道医師会認定生涯教育講座」(3単位)として開催いたします
第2回頭痛勉強会アンケート集計結果(回答数 42件)

①この会を何処で知りましたか?
aダイレクトメール       5
bアストラゼネカMR     28
c医学雑誌           2
d頭痛AtoZのホームページ   1
eその他(医局・道医報)    5

②内容はいかがでしたでしょうか?
aつまらなかった        0
bまあまあ           7
cやや満足          16
dとてもよかった      19

③今後もこのような頭痛勉強会に参加したいと思いますか?
aあまり参加したくない      0
b都合がつけば参加したい    28
cぜひ参加したいので連絡がほしい13

④質問・症例コーナーはいかがでしたか?
a面白くない               6(初学者には良い)
bまあまあ               19
c良かったが自分で質問・発表する気はない 7
d次回是非質問・発表してみたい    2
(北大深浦Dr・釧路労災及川Dr)

⑤ゾーミッグをご処方されたことはございますか?
a処方したことはない          21
bたまに処方する            6
c良く処方する             8
d片頭痛には必ず処方する        2

⑥その他この勉強会に対するご意見ご要望をお書きください
・ 特別講演だけよい
・ 非常に勉強になりました
・ 特別講演がよかった
・ 座長は教授にしないほうが良い(フレンドリーな会になると思う)
・ 挨拶不要
・ 今度は坂井先生を招いてほしい
・ 招くのなら今回のようないい先生を。
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